『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8第3話の感想 完全決着!すべてはこの瞬間のために

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『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8第3話の感想です(ネタバレ満載)。
スターチャンネルで録画したものを見たのですが、今回はあえて一時停止や早戻しなどせずに一気に最後まで見ました。
本編1時間20分の10分過ぎに先陣を切るドスラク人軍団が突撃を開始してから決着がつくまでの1時間5分余り、いつ終わるとも知れぬ死者たちとの戦いはやはりという感じで人間側の敗色濃厚に。
それでも必死に戦い続ける登場人物たちに感情移入しすぎて、見ているこっちも息苦しさや絶望感で一杯になり、同時にこんな凄いドラマを見ることができる喜びや興奮もあって、「早く終わりにしてくれ」と「このままずっと見ていたい」の不思議な感覚になりました。
最後は「これしかない」という決着のつけ方で私としては大満足です。
そしてこの記事を書くためにあちこちの場面を細かく見返しているのですが、深読みやこじつけ気味の分析にも耐えるクオリティーの高さに感心しまくりです。

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8第3話の感想

長い長い戦いの果て、もはや人間側が勝つにはラスボスの夜の王(ナイトキング)を倒す以外にない状況で、その大仕事をやってのけたのはアリア・スタークでした。
この結末に賛否両論はあるのでしょうか。快哉を叫んだ視聴者がほとんどでは?
ナイトキングが粉々に崩壊すると、傍らにいたホワイトウォーカーたちもまた粉々に。そして無数の青い目の死者たちがドミノ倒しのようにバタバタ倒れて機能停止する様子を俯瞰で捉えた映像は凄いし、生き残った人々の狐につままれたような表情や、ジョラーを抱きかかえて泣きじゃくるデナーリス、雪の大地に静かに崩れ落ちて最期を迎えたメリサンドルのラストシーンまで、まさに完璧だと思います。

アリア・スタークのレゾンデートル

ナイトキングを倒した一撃は、長い苦難の旅路でアリアが最強の女戦士に成長していった過程のエッセンスが詰め込まれた、アリア自身の存在証明をかけた一撃でした。
背後から飛んできたアリアの一発目を寸前で察知して止めたナイトキングは、ヴァリリア鋼のダガー(短剣)を持ったアリアの左手首を右手で掴み、左手でアリアの首を絞めて宙吊りにする格好に。自由が効くのはアリアの右手だけという状況になります。
アリアはダガーを下に落とし、右手でしっかりキャッチして渾身の一撃でナイトキングの心臓を貫くと、ナイトキングは破裂して氷の欠片と化してしまいます。

アリアの過去の場面あれこれが想起される

アリアは左利きなのでもちろん最初の一突きで勝負を決めるつもりだったはず。
この場面をコマ送りで確認するとアリアが本気でナイトキングの頭部を突き刺すのを狙っているのがわかります。
それでもこれを止められることまでアリアの想定の範囲内だったのかも。
シーズン7第4話でブライエニーと剣術の稽古をしたときもダガーの持ち替えのテクニックは見せていました。
このときはアリアの剣(ニードル)がブライエニーに弾き飛ばされた(ように見せてアリアが自分から手を放した?)ことで勝負あった、と相手に思わせてからの接近戦で繰り出した技でした。
ナイトキングもアリアを捉えた瞬間は勝利を確信したはず。人間なら「馬鹿め」「甘いわ」とでも言いそうなほんの一瞬の油断を作り出すまでを含めてアリアの戦術だった可能性があります。

アリアがダガーを落とすのをナイトキングは横目で見るもすでに万事休す。
アリアがキャッチできなければすべて水の泡だけどそうはなりません。
思い起こせばシーズン1第3話、キングズランディング滞在中に剣術の師匠シリオ・フォレルとの初めての稽古でシリオが投げて寄こした木剣をアリアは落としてしまいます。
「明日はつかむように。さあ拾って」
その後剣の構えや握り方の話になり、
シリオ「握りはデリケートに」
アリア「落としたら?」
シリオ「剣は腕の一部だ。腕を落とすか?まさか」
そしてこれは騎士の剣術ではなく刺客のダンスだと説明されます。
「これはまさに刺客のダンス。水のダンスだ。素早く。不意を打つ」
「すべての人は水でできている。人を刺せば水が漏れてその人物は死ぬ」
ここがアリアの出発点。集大成のナイトキングとの対決でも師匠の教えを完璧に実践したことが分かります。

また、シーズン1第6話では第5話ラストでジェイミーに襲われて重症を負った父ネッドが心配で稽古に乗り気でないアリアとシリオの会話のなかで、
シリオ「神々に祈りを?」
アリア「捧げてるわ」
シリオ「この世に神は一つ。その名は死神。死神に言うことは一つ。『まだ死なぬ』
さらにシーズン1第8話でも、ラニスター家の謀略でスターク家の兵士が次々虐殺されていることを知らずに稽古する中、アリアを捕まえに来たマーリン・トラント率いる王の盾の騎士たちから逃がすために練習用の木剣で応戦するシリオが木剣を叩き折られ絶体絶命の場面でアリアと交わした最後の会話は、
シリオ「死神に言う言葉は何だ?(WHAT DO WE SAY TO THE GOD OF DEATH ?)
アリア「まだ死なぬ(NOT TODAY.)
この会話がそっくりそのまま今回、紅の女メリサンドルとの間で交わされます。

アリアがメリサンドルに会うのは2回目。
前回はシーズン3第6話、旗標なき兄弟団(ブラザーフッド)と行動を共にしていたときでした。
メリサンドルの目的はアリアではなく、ロバート・バラシオンの落とし子であるジェンドリーを手に入れることだったのですが、ジェンドリーが捕まったことに激怒して「この魔女め!」と食ってかかるアリアの目をメリサンドルは覗き込み、不気味な予言を残します。
「暗闇が見える。闇の中から私を見てる。茶色の目、青い目、緑の目。永遠に閉じる目が」
そして「また会いましょう」と言って去っていく。

死者の軍団に城内まで押し込まれ劣勢の状況でアリアもハウンド、ベリックと三人で目の前の敵を倒しては逃げてを繰り返すしかなくなって、遂にベリックが深手を負ってしまいます。
何とか鍵のかかる部屋に逃げ込むものの、ベリックは息を引き取る。
このタイミングでメリサンドルが現れるんですが、どうやってここまで来たのか、それともここで待っていたのかは不明です。
アリア「あなたを知ってる」
メリサンドル「私もあなたを知ってる」
アリア「私たちはまた会うと言った」
メリサンドル「それが今。世界が終わる時」
アリア「私は大勢を殺すと言った。それも当たった」
メリサンドル「茶色の目、緑の目。そして青い目をね

※初対面のときにアリアがメリサンドルから「大勢を殺す」と言われたってどういうこと?そうは言ってないじゃん、って思ってよく聞くとアリアはこの部分で「You said I’d shut many eyes forever」と言っています。そして以前アリアにメリサンドルが言ったセリフをHuluで英語字幕で確認してみると「永遠に閉じる目が」の部分で「Eyes you’ll shut forever」と言っています。
つまり「アリアによって永遠に閉じられる目」とは相手の生命を奪うという意味だから間違ってはいないわけですね。
まあ「大勢(many)」の部分は後付けしちゃった感があるけど、細かいことは気にしない気にしない。

死者との肉弾戦に持ち込まれさすがに疲弊して手詰まり感でいっぱいだったアリアがこの「AND BLUE EYES」を聞くや一瞬で顔つきが変化し、立ち姿まで違って見えます。自分を取り戻したというよりは極限の集中状態「ゾーン」に入った感じでしょうか。
そしてメリサンドルとの
死神に言う言葉は何?(WHAT DO WE SAY TO THE GOD OF DEATH ?)
まだ死なぬ(NOT TODAY.)
を合図に青い目の敵の大将(=ナイトキング)の首を獲るため駆け出します。
私はメリサンドルがアリアの目を見つめたとき彼女にスイッチを入れるためのちょっとした催眠術的な何かをやったんじゃないかと推測しています。

ナイトキングがブランを狙うのは分かっていたからアリアは迷わず神々の森に向かったのだろうけど、これもまた簡単ではなかったはず。
ここではシーズン5第2話以降、ブレーヴォスの白と黒の館でジャクェン・フ=ガーから徹底的に叩き込まれた暗殺者としての技術が役立ったのでは?ターゲットに気付かれないよう接近するのは基本中の基本だろうし。
ジャクェンのもとでの修行といえば両目の視力を奪われた状態での棒術の稽古も思い出されます。
城内での戦いではジェンドリーに作らせた、両端にドラゴングラスを装着した2分割できる棒状の武器でバタバタと死者たちをなぎ倒すアリアの棒術を堪能できました。

ナイトキングがブランのところにやって来るまでのシオンの奮闘シーンを見返すと、アリアが息を潜めて潜伏する場所は結構あったようです。ナイトキング自身が起こした猛吹雪の影響で視界も悪いから城さえ抜け出せればといったところでしょう。
まあナイトキングが従えているホワイトウォーカーたちも最後にアリアが飛んでくるときに一体だけが何か気配を感じたらしいというポンコツぶりだったので、アリアもいかに完璧なタイミングで飛び出すかに集中できたのでは?
ブランのもとに必死で走り続けてまさにギリギリで間に合ったのがあの場面だという見方をする人もいるでしょうけど、それではナイトキングの後手に回ってしまうし、途中で止められてしまうはず。
やはりナイトキングよりひと足早く到着して最適なポジションに潜伏しているほうがアリアらしいと思います。

そしてアリアがナイトキングの心臓を貫くシーン。
心臓よりちょっと下のようにも見えるけど心臓ということにしておきましょう。
シーズン3第7話でブラザーフッドの元から逃げ出したところをハウンドに捕まったアリアはその後いろいろありながらもシーズン4最終話までハウンドと旅を続けます。
戦い(殺し)に関してアリアがハウンドから唯一教わったのは「急所の心臓を狙え」ということ
暗殺者となってからは喉笛を掻っ切るシーンが多いようですが、すべてを終わらせるこの場面で心臓を狙う体勢になったときにきっちり決めてみせるのはさすがですね。

ということで文句なしのMVPとなったアリアに残り3話で今回以上の見せ場はないかも知れません。
殺しのリストにはまだ数人名前が残ってるけれど、連中を倒すべきもっと相応しい人物がいるので。
むしろよくわからないアクシデントとかでアリア自身が死亡するなんてことがないように気をつけないと。まさかとは思うけど油断はできません。

ブランにはすべてが見えていた?

神々の森で静かにナイトキングを待つブランドン・スターク。
というかあまりにも落ち着きすぎている。
まるでこの戦いの結末を詳細まで熟知しているかのように。

本人曰く自分は「三つ目の鴉」であり、もはやブランではない。
だから何が起きようと人間のように感情が乱れることもない。
シーズン6の最終話ではまだ三つ目の鴉としての使命感は十分ながら能力的には未完成でした。
それがシーズン7第3話でウインターフェルに帰還したときには人間離れした雰囲気を漂わせていて、三つ目の鴉として急速に成長したことを思わせます。

私の想像だけど、三つ目の鴉の3つの目とは「過去」「現在」「未来」を見通す目なのだろうなと。オカルト的に言えばアカシックレコードに自由にアクセスする能力。
時空の流れを三つ目の鴉の視点で俯瞰すればすべてが同時に存在していて、どこに焦点を合わせるかの違いでしかないのでしょう。
光の王を信仰するメリサンドルが予言めいたことを言うのも断片的に未来のヴィジョンが見えることがあるからだと思います。ただし自分の意志で自在にコントロールできるのは三つ目の鴉のブランだけ。
未来はたとえ何らかのヴィジョンとして存在していたとしても、現在に生きる人間の意志によって上書き修正が可能なはず。ただそれも大局的な視点から見ればあくまで微調整に過ぎないのかも。
ましてや人類の存亡のかかった戦いともなれば避けようのない運命として、その結末のはっきりとしたヴィジョンをブランは見ていたのだと思います。
大きな戦いが起きて、最後は神々の森で待つブランを殺しにきたナイトキングが倒されてホワイトウォーカーと青い目の死者たちもすべて消滅する
これが基本シナリオで、そこに至るまでのプロセスで細かい「ゆらぎ」のようなものがあるからブランは三つ目の鴉の能力をより一層習熟させてすべてを把握しておかなければなりません。

シーズン7第4話でリトルフィンガーことベイリッシュからヴァリリア鋼のダガーを渡されたブランは、これをウインターフェルに帰還したアリアに譲ります。

ドラゴンvsナイトキング

第1話でも北部に来てからドラゴンたちの食欲がないとデナーリスが心配してましたが、

誇り高く散っていった戦士たち

主要登場人物の死亡者数は事前に予想したよりも少なかった。
といってもそれぞれにファンの多いはずのキャラたちなのでショックは大きいですね。

シオン・グレイジョイ

リアナ・モーモント

お気に入りのキャラだったリアナが死んでしまったのは今回一番の衝撃でした。
生き残ってもあと3話の展開に出番もないだろうから死にごろのキャラではあったのですが……。

ベリック

ジョラー・モーモント

メリサンドル

活躍できなかった面々

期待されながら不甲斐ない結果に終わったり、やる気はあるものの戦うチャンスのなかったキャラもいました。ただ、ここに選んだ三人はこのファイナルシーズンの後半戦で本当の見せ場がやってくるはずなので、あまり責めないであげてほしい気もします。

ジョン・スノウ

この戦いで最大の期待外れメンバーがジョン・スノウなのは誰が見ても明らかですね。
サッカーの点数評価だと3.5とか4.0を付けられてしまう感じ。
ジョラーらと最前線に立って待ち構える立場じゃないのはわかる。
タイミングを見計らってドラゴンで攻撃するためにデナーリスとともに少し離れた丘に待機して戦況を見つめてるのも理解できる。
ただ、援護が遅すぎる!言い訳できないレベルで完全に出遅れています
死者の軍団の突進力があまりに凄いものだったせいなんでしょうけど、しびれを切らしたデナーリスが先に飛び出したようにも見えるから、やはりジョンの判断ミスとしか言いようがない。

ハウンド

ハウンド(サンダー・クレゲイン)は少年時代に兄であるマウンテン(グレガー・クレゲイン)に無理やり火に押し付けられて顔の右半分に酷い火傷を負ってしまいます。これがトラウマになって今でも火を異常に怖がるように。
死者たちを倒すため城内あちこちで炎が燃え上がり火の矢が飛び交う中、ハウンドはガタガタ震えて縮こまっています。ベリックから「お前の力が必要だ」と呼びかけられても「馬鹿いうな!勝てっこないだろうが」と拒否します。これは死者の軍団と戦う自信がないのではなくて炎を前にした戦意喪失なのでしょう。
小さな身体で奮闘するアリアの姿を見て何とか自分を取り戻してベリックとともにアリアを援護するものの、最後まで内部に留まって最前線で戦うジェイミーやブライエニー、トアマンドたちの元に駆けつけることはありませんでした。

まあこれはこれで良かったかと。おそらくハウンドの最大の見せ場は次回以降にあるはずのマウンテンとの兄弟対決なのでしょう。アリアのリストにも載っているマウンテンですが、絶対にハウンドが倒すべき。期待して待ちたいと思います。

ティリオン・ラニスター

第2話で、このウインターフェルで兄ジェイミーとともに戦って死ぬんだと覚悟を決めたティリオンはデナーリスから「あなたの頭脳はこの後の戦いで必要になる」と言われて女性や老人、子どもたちと地下室に隠れることになります(あと宦官のヴァリスも)。

次回から後半戦。いよいよサーセイとの全面対決へ!